株式会社ツチヨシ産業

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技術情報

生型材料及び生型試験法の基礎(改訂版)

株式会社ツチヨシ産業 水田豊昭・黒川 豊

3.生型砂構成物の解説

■4-石炭粉(Sea coal)
●石炭粉使用の目的
石炭粉の使用目的は,以下の3点である.
 (1)焼付き,目さし対策(protect of burn and penetration)
 (2)FCDのピンホール対策(protect of pinholes(FCD))
 (3)シェイクアウトの崩壊性改良(collapsibility)
石炭粉の添加により,ガスフィルムやラストラスカーボンの生成による溶湯の濡れ性(接触角)の改善により欠陥が防止できる.

(1)焼付き欠陥対策
物理的な焼付き欠陥防止に対しては,鋳型から発生するガスフィルムが背圧となって焼付きを防止する説,発生するラストラスカーボンが鋳型-溶湯界面に存在することで焼付きを防止する説の2説がある.
化学的な焼付き欠陥に対しては,還元雰囲気でファイアライト生成を抑制するとされている.
還元雰囲気では溶湯が酸化しにくいために,ファイアライト生成につながりにくい.
  Fe+O→FeO    
  2FeO+SiO2→2FeO・SiO2

(2)FCDのピンホール対策
FCDでは特有のドロス欠陥と称されるガス欠陥が発生しやすい.
以下の反応式により水素が放出されてガス欠陥となるが,石炭粉の使用により鋳型が還元性となり,MgO生成を抑制することで,ガス欠陥が防止される.
FCDのガス欠陥は,外観が球状であり,内部には炭化物が観察される.
SEMを用いて観察すると特徴的なために判定しやすい6).
  MgC2+H2O→MgO+C2H2    
  C2H2→2C+H2

(3)シェイクアウトの崩壊性改良
上記(2)と同様の理由により,鋳型-溶湯界面の分離が容易になり,シェイクアウトが容易になる.

●炭素質添加材の種類
石炭粉とは石炭(弱粘結炭)を原料とした炭素質の添加材であるが,石炭粉以外の炭素質材料としては,ギルソナイト(天然に産する物と石油より精製されるアスファルト系の物がある),ピッチ(石炭及び石油より精製される),黒鉛粉(天然黒鉛と人造黒鉛がある)等がある.
鋳造工場での使用は,石炭粉が圧倒的に多く,他の物は極僅かに使用されている程度である.
Table6に,石炭粉とギルソナイトの分析例を示す.
ギルソナイトは揮発分が多く,そのために生成するラストラスカーボンも多いが,使用に当たっては添加量に注意をしないとブローホールが発生する例もある.

Table6 石炭粉とギルソナイトの分析例
水分 % 揮発分 % 灰分 % 固定炭素 %
石炭粉 1.13 44.85 2.67 51.35
ギルソナイト 0.37 81.62 1.62 16.39


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