株式会社ツチヨシ産業

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技術情報

生型材料及び生型試験法の基礎(改訂版)

株式会社ツチヨシ産業 水田豊昭・黒川 豊

3.生型砂構成物の解説

■5-オーリチック(Oolitics)
●オーリチックの定義と役割
オーリチックとは,主にベントナイトの焼結物がポーラスなガラス状物質となってけい砂にコーティングしたものである7,8).
ベントナイト焼結物以外に石炭粉,けい砂粉や澱粉の灰分,中子粘結剤の残留成分などから成り立っている.
その役割は,保水性の改善とクッション作用である.
ポーラスなオーリチックはその内部に水分を取り込み,生型砂を乾き難くしている.
また,オーリチックは注湯時に軟化溶融して,けい砂の膨張を緩和し,すくわれ・しぼられ欠陥防止に寄与する.

●オーリチックの形状(SEM観察)
Fig.11にけい砂断面のSEM像を示す.
Fig.11(a)はオーリチックがあまり付着していない例であり,Fig.11(b)はオーリチックが多く付着した例である.
これらのSEM像は,全粘土分を除去したオーリチック付着砂を樹脂に埋め込み,切断・研磨後に金蒸着しSEMで観察したものである.
鋳造工場で使用される生型砂はFig.11(a)の砂粒が多く,20~30粒に1粒程度Fig.11(b)の砂粒が付着しているようである.
Fig.11(a)では,砂粒の局部に薄片状にオーリチックが付着している.
Fig.11(b)ではポーラスにオーリチックが砂粒全体に発達し,あたかも擬似砂粒のようである.
オーリチックがあまり付着していない例

オーリチックが多く付着した例
▲Fig.11 オーリチック付着砂の断面写真

●オーリチックの物性と生型特性との関係
Table7にオーリチックの水分率と比重を示す.
生型砂におけるオーリチックの役割は,前述したように保水性改善とクッション作用が主である.
保水性については,オーリチックの水分率に見られるように,オーリチックは3~10%の水分を吸着する.
クッション性については比重の低い(体積が相対的に大きい,また空隙まで含めた見かけ容積はさらに大きい)オーリチックがけい砂に付着し,約900℃で軟化溶融することで,鋳型が低膨張となる.
さらに,オーリチック付着砂は,しわ状の表面状態により,オーリチックとベン トナイトゲルの接着力が増加し,抗圧力や表面安定性の増加につながる9).

Table7 オーリチックの水分率と比重(1000℃焼成オーリチック付着砂)
(A/B)×100 オーリチックの
比重
オーリチックの
水分量 %
オーリチック分
%
オーリチックの
水分率 %
ベントナイト
種類
各8%添加
Na,Bt-1 0.57 6.2 9.2 0.328
Ca,Bt 0.16 5.2 3.1 0.263
activate Bt 0.47 6.0 7.8 0.384
Na,Bt-2 0.42 6.5 6.5 0.382
澱粉添加 0.5% 0.58 6.4 9.1 0.379
1.0% 0.60 6.2 9.7 0.314
1.5% 0.62 6.7 9.3 -----
石炭粉添加 1.0% 0.62 6.4 9.7 0.324
3.0% 0.68 7.3 9.3 0.381
5.0% 0.75 7.3 10.0 0.398


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